インタビュー - Interview -

現役アスリート雇用企業
現役アスリート雇用企業
早見泰弘さん
株式会社ワイズ
オーダーメイドのリハビリプログラムを完全マンツーマンで行う「脳梗塞リハビリセンター」を中心に、病院でも、デイサービスでもない、全く新しい施設を全国に展開。
様々な競技の現役アスリートを運動トレーナーとして雇用し、アスリートとしての活躍と、仕事での活躍を応援している。

アスリートは企業にとって安心して雇用できる人材
デュアルキャリアの応援は、我々にとってメリットが大きい

Q.株式会社ワイズの事業内容を教えてください。

『脳梗塞リハビリセンター』という施設で、退院後に求められる個人の症状や目的に合った リハビリをマンツーマンで提供するサービスを主力に展開しております。現在の社会保障制度では、退院後もたくさんリハビリがしたいと思っても、その制度の範囲内でできることに は量も質も限度があります。そこで、我々は“もっとリハビリをしたい”という切実なニーズに応えるため、2014年に自費型の個別リハビリができるサービスを日本で最初に体系立てて始めました。脳梗塞リハビリセンターには、歩く、話す等のリハビリ以外にも、パソコンのキーボードを打つためのリハビリを、集中して行い職場復帰を果たしたエンジニアの方や、母として娘にお弁当を作ってあげたいという思いで、お米を研いだり、卵焼きを作れるようになるためのリハビリをしていた方など、本当にさまざまな目標を持っている方がいらっしゃいます。

Q.どのような現役アスリートの方が働いていますか?

陸上競技、ライフセービング、バスケットボール、ハンググライダー、チアリーディングなど、本当に多岐にわたります。過去には、なでしこJAPANのメンバーもいて、17時からの練習に出られるように、16時まで働いてもらう形をとったりしていました。アスリートの中には、代表になれるようなトップ集団には属していない、競技自体がマイナーといった理由から、どうしても競技1本では生活できないという方達を、積極的に受け入れようと思っています。

Q.リハビリの現場となると、働くためには勉強や資格取得が必要なのでしょうか?

もちろん現場には、いろいろな方々のリハビリニーズに応えるために、鍼灸師や理学療法士、作業療法士など、他職種でチームを組んでプログラムを考えているので、免許が必要な工程もあります。でも、資格がないと働けないということではないです。たとえば、理学療法士が考えたリハビリ内容を、お客さまに寄り添いながら反復するトレーニングは、運動トレーナーの役割です。そういった場面でアスリートの方達には活躍していただいてます。国家資格があるから偉いということもなく、運動トレーナーがマネジメント職につくこともあります。

Q.そもそも、どのようなきっかけで現役アスリートを雇用するようになったのですか?

弊社は2014年創立のベンチャー企業なのですが、創業時に知り合った方に、運動トレーナー 候補の人材としてアスリートを紹介してもらったのが最初です。その方は、ランニングの競技指導から、選手の引退後のキャリア作りなどに尽力していて、自分の身体の動かし方やトレーニングに精通しているアスリートが適任では、とアドバイスをくれました。

Q.実際にアスリートを雇用してみて、どのようなメリットを感じますか?

私が感じる点は、下記の2点です。

スポーツを通じて培われた体力・コミュニケーション力

体力があったり、体格に恵まれていたり、というのはお客さまにとってみれば安心感につながりますし、明るく雰囲気作りに長けている方が多いと感じます。資格を持って勤務している、他のスタッフに比べても、そこのポテンシャルは全然ちがうように感じます。「こんにちは!今日はあたたかいですね」なんていう何気ないあいさつやコミュニケーションもしっかりできて、店舗のチームワーク醸成にも大いに貢献してくれていると思います。現在、全社員の接遇研修を担当してくれているスタッフも、ライフセービングの選手です。

挑戦と結果がもたらす、現場への前向きなエネルギー

大会でメダルを取った時は、全施設に共有したり、実際に店舗に持っていってもらい、お客さまにも触ってもらったりしています。そうすると「私も歩行訓練がんばろう!」といったやる気につながったり、今度また大会に行くとなれば、「がんばってきて!」とみんなで送り出してくださったり、すごく現場の励みになります。スポーツって人を巻き込む力があるから、そこがいいなぁと思います。おもしろいのは、たとえ負けてもプラスになっていることです。なぜなら、リハビリにいらしている方達も“突然(の病気で)歩けなくなった”と か、“話せなくなった”とか、挫折を味わっているのです。悔しい経験はお客さまの心に寄り添うことにつながります。副次的な効果でありながら、とても大きなメリットになっている と思います。

Q.アスリートを採用する上での懸念事項や不安要素としてあげられることはありますか?

ある程度競技で成績を出している人や、自分なりのトレーニングなどを通して体について詳しいという自負がありすぎて、謙虚な姿勢に欠けると現場でうまくいかないかもしれませ ん。この領域では新人になるので、ゼロから学ぶ姿勢が必要かと思います。と言いましても、それは当たり前のことですし、アスリートに限らず言えます。“アスリートだから”懸念、不安なこと、というのは、あまり思いつかないですね(笑)。

Q.練習に参加するための時短勤務や、大会のための長期休暇などは問題ないですか?

「大会に出るために2週間オーストラリア行ってきます!」なんてこともありますが、メリットであげた通り、帰ってきてからいいことがたくさんあります。休んだ本人も、「休みの間、ありがとうございました!」ってバリバリ働いてくれますし。もちろんそういうイレギュラー対応ばかりがあまりに増えてしまうと困りますが、こちらが提示する条件と、アスリートの人が必要とするサポートを、事前にしっかり相談してマッチングができていれば、 問題にはならないと思います。脳梗塞リハビリセンターは、完全予約制で、シフトを組んでスタッフの欠員には対応できるので、そういう意味で職種的にも相性がいいのかもしれません。

Q.今後、デュアルキャリア支援を考える企業へのメッセージをお願いします!

企業側にはまだデュアルキャリアをめざすアスリートの雇用という、人材活用の可能性に気付いてないところが多いと思います。私もまさに最初のアスリート雇用についてのアドバイ スをもらわなかったら、その発想がないままでしたから。アスリートと呼ばれる人達は、そこまで積み上げてきたプロセスに嘘がなく、会社側としてもその経験を見て評価できるので、安心して雇用できる人材だと考えています。前述のように、マッチングをしっかりとすれば、企業側にとってメリットは非常に大きいので、アスリートの競技と仕事の両立をサポー トができる会社がこれからどんどん増えていってくれればと思います。弊社も、これから50店舗くらい増やして、トレーナーも100人は必要になってくるので、今後も積極的に採用していきたいです。